座頭市

座頭市 <北野武監督作品>ビートたけしのやつである。うーん、今ひとつだなぁ。
金髪だったり、血しぶきが無駄に派手に飛んだりするのは面白いけど、だったら衣装ももっと派手な現代的色彩(金ラメはさすがにあれだが)とかでもよかったと思う。ラストのタップなんか見ててぞくぞくする物があるのだが、物語に全然生かされていないというか。途中でちょっとタップ風というか農作業の音が音楽に重なったりする場面があるんだけど、ちょっとなぁ。農作業の鍬がリズムに合わせているのは分かるんだけど、全然畑を耕しているように見えないのね。もっと分かり易いミュージカルでもよかった気がする。
殺陣が評判だけどよく分からない。見やすくてはやくてカッコイイんだけど。よく切れすぎというか。カッターナイフみたいだ。いや、よく切れすぎなのはいいんだ。でも、だったら全体的にもっと「軽い」動作の殺陣でよかったと思う。CMで見た浅野忠信の動きはよかったんだけど(最初に親分に実力を見せるシーン)、映画の中のその場面はかなり「重い」。遅いとか言う意味じゃなくて。ズドッて感じじゃなくって、スパよりももっと軽くすべてが切れる感じの切れ味なのに、動きは今までの時代劇殺陣と同じくズバッて感じの重さの剣を持った動作だから変な気がするのかな。
そしてそれよりも何よりもまず、話のつながりか全然納得できる物じゃなかった。うわべを滑っているというか、とりあえずだけ説明しているというか。ありがちなパターンなので何とかついて行けるんだけど、感情移入とかすることはない。なのに「思い入れ入れろよ」的な場面が結構長い。兄弟の苦労話とか、浅野忠信の苦労話とか。単純に「かわいそうでした」「悪い奴でした」でいいんじゃないかなぁ。
あと、あの金髪は「まったく新しい時代劇」とかじゃなくって、晩年の勝新太郎の白髪のパロディーだと思う。