キス

10人くらいいただろうか。飲み会はえらく盛り上がっていて、僕は一人で店を出た。別に、帰ろうと思ったわけじゃない。なんとなく体の火照りをさましたかった。こんなに飲んだのは久しぶりだと思った。その飲み屋は通りから少し離れたところにあり、入り口のあたりは少し寂しいくらいで、だから体を冷やすのにとても都合がよかった。何もしないで壁にもたれながら空を見上げていると、たばこを吸う人がうらやましくなる。そんなとき、店から女の子が出てきた。
彼女は僕たちのグループの一人で、よく飲む。彼女は僕に気づくと近づいてきた。僕は彼女と話をする。彼女には彼氏がいて、二人の仲の良さは目を覆うばかり。人前で抱き合ったりキスすることなんか平気だ。僕が二人の仲をからかうと、彼女は
「キスなんて誰とでもできるのよ」
そういって僕にキスをした。