バッドノウハウ

一般に、マニアという人種は普通の人にとってはどうでもいいような知識を熱心に覚えることに喜びを見出すものだが、これが計算機マニアになると「奥が深い」といってバッドノウハウを喜んで覚える「奥が深い症候群」になりやすいようである。また、バッドノウハウを薀蓄として披露することによって、より一層の喜びを得るという心理的な働きも「奥が深い症候群」を進行させる一因となっているようだ。

バッドノウハウと「奥が深い症候群」

複雑で親切でないものというのは、挑発的である。”それ”は「やる気」を起こさせる。2ちゃんねる用語でいうところの「釣り」と同じく、つっこみを待っている状態だといえる。長い苦難の道のりを乗り越えると、その先に待つのは伝説の秘技、最後までたどり着いたものだけがたどり着けるありがたみが存在するという。
たどり着いた時の感動は、実は有益性に対する感謝などではなく、ランナーズ・ハイやクライマーズ・ハイなどに似た、ストレスから解放されることによる快感の方が大きいのかもしれない。「普段悪いキャラがちょっといいことをするととても感謝される法則」や、人がパズルのような「どうでもいいもの」を喜ぶ動機も似たようなものだろう。
だが快感は人をポジティブに変える。「奥が深い」ものの真の姿に立ち会った快感。そうだ、皆にこの喜びを味わってもらおう。真の姿を知らずに”それ”を批判するなんてワカッテナイ!
そうやってバッドノウハウに関する文章は量産され、結果的に露出の多い”それ”が人目につく。参照されることによりGoogleページランクも上がる。
こうして挑発的なものが世界に広まっていくのだ。