アンダーワールド

好きなんですよ! 吸血鬼が! もうね。唇から血がしたたり落ちててね、その目がおまえも食っちゃうぞみたいにこっち見るの。きゃー伯爵様私も噛んで! みたいな。
ってな期待をして見に行ったのですがね、全然違うんですよ。映像はきれいだしお話もそれなりにひねりがあるんだけれども、だね。吸血鬼が全然吸血鬼じゃないのよ。そりゃね、何百年も吸血鬼やってりゃ昼に外出られないとか十字架やニンニクが苦手とかの吸血鬼的お約束設定はそれが当たり前になって日常生活の一部になってるからわざわざそんなシーンとかいらないと思ったのかもしれないけれどもだね。それじゃ見ている方は納得しない訳よ。せっかく狼男対吸血鬼なんだからさあ。「吸血鬼どもは昼が苦手だから昼間に作戦決行だ」とか「狼男は月が出てないと力が出ないから」とかそういう設定の元に作戦が展開されて、それをどう乗り切るのか、みたいなところが見たいわけじゃん。実はデイウォーカーだったとか特殊な薬を飲んで体質改善とか狼男と吸血鬼の混血だから大丈夫とかそういうのでもいいわけよ。なのに、この映画は火星人対超能力者でもよさげな超人バトルを繰り広げてそれはそれなりに迫力があってかっこいいんだけれども、俺様は吸血鬼を見に行ってる訳よ。こいつを噛むべきか噛まないべきか愛しちゃってるんだけれども永遠の生の苦しみとか考えると人間のママしなせてやった方がとか、今更そういう葛藤が見たかったりするんだよ。
ってなかんじで物語の展開も必然性とか特に感じ無くって丁寧に作り込めばかなり面白い話になっただろうにと残念で家に帰って脳内補完するしかないのでした。