共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人

最初は著者は、これは脳内の配線が混乱していることから生じる異常な現象と考えていた。しかし、緻密な研究を進めるにつれ、意外な事実が分かってくる。実は、共感覚は人間(哺乳類)の誰でも持っている根本的な感覚で、脳の正常な機能だが、その働きが意識にのぼるひとが一握りしかいないもの、ということが分かったのだ。
共感覚は、脳の皮質の下にある海馬を中心に、いつでも誰にでも起こっている神経プロセスだが、通常は脳の最終処理を行う器官である、辺縁系の正常な処理を通過すると、意識から失われてしまう。