潮騒 三島由紀夫

エロい! しかもこのエロさは「ラブひな」とか「Boys be...」とか「I's」とかの少年誌エロ担当漫画に似たエロさだ。有名な「その火を飛び越してこい!」のシーンとか。裸を見せ合って意識しあう年頃の二人、でも事に及ばず、みたいな。三島由紀夫の頃はこれを「純潔」と賞賛したようだが、現在ではこれは「寸止め」と呼ばれるヒロインの処女性を残し男性読者への興味をつなぎ止めるという、あざとい萌えの手法であると非難されよう(笑)。
とはいえ。まあ物語はあんまりおもしろくなかったかな。ライバル達がどれも腰抜け過ぎ。上述の「その火を飛び越してこい」シーンはクライマックスだと思っていたけれど、実は前半(1/3辺り)にあったりして。
描写がすばらしいと聞いていたけれど、一番すばらしかったのは「ヒロインのおぱーい」に関する描写。「出会いのシーンでは顔が目に浮かんだ」って聞いたんだけどなあ。まあ、全体的に美しいシーンばかりではある。魚の口から流れ落ちる血は妙に印象に残っているし、クライマックス主人公が荒海に飛び込む場面とかは迫力があった。「男らしい」シーンの方が得意なのか(やっぱり)。

タイトル
潮騒
作者
三島由紀夫